熱中症予防対策のためのリスクアセスメントマニュアル(製造業向け)(2015年3月)

調査研究の目的

事業場におけるリスクアセスメントの実施は、安全分野を中心にマニュアル等が整備されているが、労働衛生分野のハザードは化学物質など一部しか取組み方法が整備されていない。
平成25年度を初年度として厚生労働省が示している第12次労働災害防止計画においても「メンタルヘルス、腰痛、熱中症等の労働衛生分野についてもマニュアル等の整備を進め、リスクアセスメントの実施を促進する。」とされている。
そこで、委員会を設置し、事業場での暑熱環境の実態や対策を調査し、それらの結果を踏まえながら、熱中症の基礎知識、暑熱作業に関するリスクアセスメントの考え方、事例等をまとめた。

目次

  1. 熱中症の基礎知識
    1. 熱中症について
    2. 熱中症の発症に関する要因
  2. 暑熱作業に関するリスクアセスメント
    1. 暑熱リスクの見積り
    2. リスク低減措置
    3. リスク低減措置後のリスクの再評価
    4. 残留リスクへの対応
  3. 事例
    1. 暑熱作業に関する基準例
    2. リスクアセスメントの事例
  4. 参考資料
  5. マニュアル作成の概要

暑熱作業に関するリスクアセスメントのポイント

本マニュアルでは、いくつかの重要なかつレベル分けが可能な要因に注目してリスクを見積もり、全体のリスクを評価することとした。

  1. 暑熱環境
    WBGT、気温、相対湿度
  2. 作業強度
    メッツ(METs)、動作強度(Af)、エネルギー代謝率(RMR)、作業強度比較表(筋力、取扱い重量、階段昇降回数、移動距離、動作速度、繰り返し頻度、最大心拍数、METs時)
  3. 衣服・装備
    通気性の低さ、透湿性の低さ、安全衛生保護具(冷却用のものを除く)の着用

リスクの見積りは次の手順で行う。(事例は表参照)。

  1. 暑熱環境のリスク(EL)の見積り
  2. 作業強度のリスク(ML)の見積り
  3. 衣服・装備のリスク(IL)の見積り
  4. 作業強度と衣服・装備のリスクの見積り
  5. 総合リスク(RL)の評価
  6. 残留リスクの修正

また、リスク要因ごとのリスク低減措置について解説し、残留リスクへの対応については、個人差への配慮も含めた方法について記載している。