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ゼロ災運動・KY(危険予知)

ゼロ災運動に取り組む事業場紹介

シーティーシー・テクノロジー株式会社

IT業界におけるゼロ災運動への取り組み ~ヒューマンエラーゼロでいこう~

IT業界においてゼロ災運動を推進しているシーティーシー・テクノロジー株式会社(以下CTCT)の取り組みを紹介します。

同社はコンピューターシステムの構築、メンテナンス、運用まで伊藤忠テクノサイエンス(以下CTC)グループの保守サポートサービスを一手に担う会社です。IT業界においては、24時間365日お客様のシステムを見守る上で、万が一作業ミスからコンピューターシステムの停止や個人情報の漏洩などが発生した場合、それまで築いてきた社会的信用が失墜するなど、事業全体に及ぼす影響は極めて大きなものと言えます。したがって、起こりうる人的ミスを予防し、お客様により一層の信頼をいただくため、ゼロ災害運動は重要な取り組みとなっています。

CTCTでは、従来から、考えられる危険なポイントを意識したKY手法を取り入れた活動(訓練)の有効性を認識し、全社に浸透させるべく交通危険予知活動を一つの手段としたゼロ災運動を展開していました。しかし、人為的な作業ミスによるトラブルが起こったことなどから、抜本的な対策としてゼロ災運動が災害ゼロとあわせて「ミスゼロ」にも有効ではないかということを検討しました。

HEZ活動

当初、CTCTでは、ゼロ災運動の作業ミス防止有効性を検討するため、ヒューマンエラーゼロ(以下HEZ)の推進メンバー3名がゼロ災運動プログラム研究会(プロ研)に参加しました。製造業、建設業の事業場からの参加者が圧倒的に多いプロ研においてIT企業では、極めて異例の参加でした。プロ研参加の結果、その考え方や手法が作業ミスを減少させるという結論に達しました。しかし、当時の社内には「ミスをしないことは当たり前のこと。当たり前のことになぜ時間とコストをかける必要があるのか?」という厳しい意見もありました。これに対して推進担当者が説得にあたり、当たり前のことを当たり前に行うことが重要であることと、IT業界では初めての試みにチャレンジするという熱意を理解してもらいました。こうしてHEZ(Human Error Zero)推進局が発足し、ゼロ災運動がキックオフされました。

全員参加の取り組み

その取り組みの代表的なものとして、技術職を始めとして事務職員、営業職員、関連会社職員まで含めた全社的なKY研修を開催しています(写真1)。

(写真1)
写真1

セミナーには毎回約30名が参加し、社内で養成したトレーナーと中災防教育推進部の職員がコーディネーターとしてあたります。平成14年度には16回、平成15年度には14回(新入社員対象研修への導入)、平成16年度にはフォローアップ研修を含めて31回開催しました。また、社長をはじめ全役員が推進メンバーと共に全事業所をまわって啓発活動を行い、常に危険を危険として意識できる、会社風土づくりへの熱意がうかがわれます。

研修では、ささいなミスが思いもよらない被害を生み出す危険性について学ぶとともに、ミスを一切なくそう、という組織の強い意志を参加者に伝えるため、毎回必ず役員を含む部長職以上の役職者が研修の必要性についてスピーチを行います。

(写真2)
写真2

研修開始当初は基本を徹底するためKYT基礎4ラウンド法を根気強く繰り返しました。平成16年度から基礎コースに現場で有効な活用技法であるsKYT(ショートタイムKYT)を、フォローアップ研修に問題解決4ラウンド法を取り入れました(写真2)。また、決めたことを守ることの難しさを理解するための指差し呼称で「椅子押し込み ヨシ!」の完全励行、そして研修カリキュラムに沿った進行時間の厳守、実際の作業に活かすための机上の徹底した整理整頓、「ゼロ災でいこう ヨシ!」に代わる「ヒューマンエラーゼロでいこう ヨシ!」の指差し唱和など、内容には工夫が重ねられています。

また、参加者が各職場に戻ってから研修内容を実践しやすいよう、研修中は参加者の取り組み姿勢等で良かった面をコーディネーターがみつけて褒めるようにしたり、研修の最後には代表者による研修の感想や決意表明をスピーチしてもらっています。

HEZカウンター

一方でこの取り組みを啓発するため社内WEBサーバに「HEZカウンター」を掲載しました。これは作業ミスによる事故発生からの経過日数、すなわち無事故の継続日数をカウントするもので、ひとたび作業ミスによる事故が発生するとリセットされます。画面は2階層になっていて前面が全社と本部のカウンター、背面が部のカウンターになっています。どこかの部がリセットされると全社カウンターもリセットされる仕組みとなっています。WEBサーバなので社長をはじめ全社員がいつでも見ることができてインパクトのある啓発ツールとなっています。

しかし、残念ながら作業ミスは発生してしまうことがあります。その場合は、起こした部署による問題解決ミーティングにHEZ推進局メンバーも加わり、一緒に「なぜ? なぜ?」という本質的な要因の掘り下げを行い、効果的な対策を講じるよう努めています。

このように、第三次産業においては先進的な取り組みではありますが、いまだ多くの課題に直面し、悩みながらの展開と言わざるを得ません。人間特性の面から言えば、誰でも作業ミスを起こしてしまう可能性があります。この撲滅にあえて挑み、全社をあげて作業ミスをなくす職場風土づくりに取り組み続ける同社には今後とも注目しておきたいと考えます。