キャンペーン・募集

STOP!熱中症
クールワークキャンペーン

 ご案内 

厚生労働省の補助事業として、中小規模事業場が抱える課題や悩みの解決をお手伝いする中小規模事業場安全衛生窓口を設けております。安全衛生の専門的知見やノウハウを持った専門家が無料でアドバイスいたします。お気軽にお問い合わせください。

安全衛生相談員コラム

(とある事業場のAさんと、安全衛生相談員とのやりとりです)


Aさん

厚生労働省が熱中症対策の強化のため、労働安全衛生規則の改正をすると新聞記事に載っていましたね。

死亡災害が令和4年5年と2年連続で30人を超え、令和6年もそれを上回るペースで発生しており、死亡災害に至る割合は他の災害の5~6倍になります。
そこで、厚生労働省は、労働安全衛生規則を改正して、罰則付きで対策を強化することとしました。


相談員

Aさん

労働安全衛生規則に、どのような改正が行われるのですか?

現場で取り組んでいる熱中症対策で効果を上げている取り組みにプラスして、熱中症のおそれのある労働者を早期に発見し、その状況に応じ、迅速かつ適切に対処することにより、熱中症の重篤化を防止するため、「体制の整備」、「手順書の作成」、「関係者への周知」が事業者に本年6月1日を施行予定として罰則付きで義務付けられます。


相談員

Aさん

事業者に義務付けられとのことですが、どのような環境下の作業に義務付けされますか?

「WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超える実施」が見込まれる作業が対象になりますが、熱中症が発生する可能性があれば、幅広く考えて欲しいと思います。


相談員

Aさん

私たち事業者は何をすればいいのですか?

まずは、熱中症のおそれのある労働者を早期に見つけるための方法を考えなければなりません。現場でどのような体制で仕事をしていますか?その状況に即して熱中症のおそれのある作業者を早期に見つける方法を検討してください。


相談員

Aさん

現場での作業は二人体制ですので、熱中症が疑われる症状例を理解して、相互に気を付けられればいいですね。
また一人体制の時は、早期に発見するために、定期的に体調を把握する方法が必要ですね。

定期的に体調を把握する場合に、その日の天候や作業者の健康状態など、熱中症が多発する状況が疑われるときは、頻繁に確認する必要があります。
次に、熱中症と思われる人を発見したら、症状を確認して適切な対応を選択(判断)しなければいけません。
現場の状況を確認しつつ、異変がある人をひとりにせず、すぐに涼しい現場へ避難させ、身体を冷却し、医療機関への搬送等を支援する体制が必要です。この一連の手続きをマニュアルに定めて、それに基づいて適切な対応がとれるように体制を構築することが必要です。


相談員

Aさん

これらの手続きをマニュアルに定めればいいのですね。

現場の作業員は、作業に集中しているでしょうから、マニュアルも現場のマニュアルとそれを支援する支援体制のマニュアルに分けては、いかがでしょう。特に、支援体制は、現場がマニュアルに基づいて体調を管理・把握しているか確認するようなチェック・フォロー機能や当日の天候などの環境変化の情報を提供する機能も盛り込んではいかがでしょうか。


相談員

Aさん

確かに。労働災害はあってはならないから、一人作業、単独作業であっても、体調を管理するフォローを確実のするため支援体制が重要ですね。

熱中症の症状に合わせて、作業からの離脱、身体の冷却、医療機関への搬送が必要になります。したがって、支援体制は、現場の体調把握の支援などの社内の体制だけでなく、救急隊、医療機関などとも連携して適切な搬送、適切な救急医療が受けられるように外部関係機関ともコミュニケーションをとって、構築する必要があります。
熱中症による死亡災害のほとんどが「初期症状の放置・対応の遅れ」が原因です。
体調不良の際はすぐに対応ができるよう現場の支援体制を確立した上で、関係作業者への周知を徹底してください。


相談員

Aさん

現場の作業員の役割、支援を担当する職員の役割などをマニュアルにまとめるため、職場のみんなで話し合うことで、それぞれの役割に対する意識を高めようと思います。

はい、いいですね。厚生労働省のポータルサイトや中災防のSTOP!熱中症 クールワークキャンペーンページにいろいろな情報が掲載されていますので、参考にされて、マニュアルを作成し、現場、支援組織、それぞれの役割を十分理解し、この夏も無災害を継続してください。


相談員

令和7年5月
中小規模事業場安全衛生相談窓口